
こんにちは、ダンナです。
昨年は多くの投資家にとって、結果的に良好なパフォーマンスで締めくくることができた一年だったようです。その流れを受けて、「今年も全力で投資だ!」と意気込む人を多く見かけます。
ただ、僕は少しひねくれ者なので、「インデックスファンドが最適解だ」と称賛される中でも、その裏に潜むリスクを理解し、きちんと対策を考えないとどうにも落ち着きません。
今回はインデックスファンドが孕むリスクについて、つらつらと述べていきます。
正直、多くの人はここまで考える必要がないのではないかと思います。しかし、何かの折にリスクが顕在化し暴落が起きた場合、冷静に対応するための一助になるとも考えています。ぜひ一読いただけますと幸いです。
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はじめに
皆さん「合成の誤謬」という言葉はご存じでしょうか。
投資歴がある程度ある人や経済学を学んできた人ならば馴染み深い言葉かと思います。
ザックリ言えば「個にとり良いとされることが、必ずしも全にとり良いとは限らない」ということです。
たとえば貯金です。
貯金は大切なので個人個人へのアドバイスとしては正しく、やるべきことであると思います。しかし、全員が貯金をしてしまい消費しなければ、経済は停滞します。
これを解消しようとして、日本は貯蓄から投資への流れにシフトさせようと躍起になっているのです。これが正しいとは思いませんが。
誰かの支出は誰かの収入なのです。
合成の誤謬により、世界恐慌が訪れたと言われています。経済って難しいですね。
私がインデックス投資を行っているのは、これが個にとり最適解であるからと納得したからです。インデックスファンドの歴史や組成方法を学ぶにつれ、ジョン・C・ボーグルが称賛する真意に同調できました。
しかし、そんなジョン・C・ボーグルですらETFには懐疑的でした。ETFの出現により、インデックス投資が投機的なものになってしまうと懸念してのことです(実際にデリバティブETFやインバースETFなどの規模が拡大しています)。
インデックスファンドが発明されてから2025年で50周年を迎えます(1975年12月31日が起点)。
この折に、インデックスファンドの良い点だけでなく、悪い影響について理解を深めてみましょう。
※当記事におけるインデックスファンドとは、日経平均やS&P500といった株式市場平均に連動するファンド(投資信託やETF)を指します。インデックスって色々あるからね…。
指数提供会社によるインデックスの恣意的変更
まず、何を差し置いても伝えたいのがインデックスの恣意的変更リスクです。
これは実際に何度も起きており、インデックスファンドとアクティブファンドの定義を曖昧にしてしまう原因とも言えます。
指数提供会社とはMSCIやFTSE、日本経済新聞社などインデックスファンドの株式指数を管理・提供している会社を指します。
多くの人が好きなS&P500も例外ではなく、何度もルールの変更がなされています。
例えば、複数クラスをもつ株式の採用を禁止するルールです。Berkshire Hathaway inc.やAlphabet inc.など創業者が経営権を保持するために議決権のない株式を発行している企業は基準を満たしても採用しないことになりました。ただし、既に組み入れられているものは除くそうで、なんだかモヤモヤする状況に…。
企業のガバナンスを重視するためには必要だと思いますが、その一方で多様性や市場全体の反映を制限してしまいます。
ほかにも、最近ではオルカンという愛称で知られているインデックスにおいても、中国企業を指数から除外する動きが見られます。共産中国軍事企業への投資を禁じる大統領令が出されたことや、そもそも中国株に対するネガティブなイメージや株価低迷などが理由として挙げられています。
指数から除外するか否かそれだけのことですが、こと新興国株においては政治的駆け引きとして利用されるほど、インデックスファンドが大きくなっているのです。
他にもESGや新興国市場という定義の揺らぎなど、指数提供会社に対する内外的な要因によりインデックスの定義は変わってしまうのです。
これはインデックス投資家のリスクとして理解しておくべきことだと思います。
これについて以下の書籍で分かりやすく解説されています。
なぜか話題にならないのですが、変な投資本よりも一億倍役に立ちます。
市場の非効率性に対する影響
インデックスファンドの最たる特徴として「市場全体の動きに追随する」というものがあります。これによりインデックス投資家は安定したリターンを得ることができるのです。
しかし、悪い見方をすれば個別企業の業績や本質的価値に関係なく、指数に組み入れられている銘柄を機械的に買ってしまうとも取れます。
これにより、企業の本質的価値と市場価格に乖離が生じ、市場の価格形成に歪みをもたらすのでは…と懸念されています。
簡単に言えば、人気の銘柄を沢山買って、不人気な銘柄は少ししか買わない。暴落時には逆に不人気な銘柄を沢山売って、人気のある銘柄は少ししか売らない。というのです。
一見素晴らしいように思えますが、企業の本質的価値が100円でしかないのに、1億円の価値があるものとして売買する可能性があるのです(極論ですが)。
インデックスファンドのこのような特徴が、市場の非効率性を助長する原因となると考えられています。
特に時価総額が大きい企業に資金が集中しやすいため、企業の実際の業績や成長性に関係なく、株価が過剰に引き上げられるリスクがあります(多くのインデックスでは時価総額加重平均を採用しているほか、組み入れ基準にも時価総額が用いられているため)。
とはいえ、このようなリスクはスマートベータ戦略や浮動株調整型インデックスなどが普及することにより、効率的な市場に回帰するという見方もあります。色んなインデックスファンドやETFが登場すれば問題ないよ!という見方ですね。本当かな…。
市場全体の下落時のリスク
インデックスファンドの特徴は以下の文に要約できます。
皆が富むとき、僕も富む。皆が貧するときに、僕も貧する。
抜け駆け禁止。皆で渡ろう赤信号です。
インデックスファンドは市場全体の動きに連動するため、市場全体が下落する局面では、ファンドの価値も同様に下落します。個別の銘柄選択によるリスクヘッジができないため、市場全体の下落リスクをそのまま受け入れることになります。
「インデックスファンドは広く分散されているのでリスクはない!」
と、言っているポストを見かけたことがありますが、そんなわけがないのです。
分散しようが投資先は株式である以上、リスクはあります。個別株を買うよりは比較的リスクが抑えられるというだけで、暴落しないと同義ではないのです。
大抵の人はこうした誤解や無勉強が起因して、リーマンショックやコロナショックなどの暴落時に冷静さを欠き、狼狽売りにより損失を確定させてしまい、株式市場から退場します。
ちなみに僕も臆病者なので、知識武装して冷静さを保とうとしていますが、どうなるのか分かりません。実際、コロナショックのとき、理性は圧倒的買い、感情は様子見でした(結局買ったけど)。次もそうとは限らない…。
以下の記事にアセットアロケーションの考え方についてまとめました。
お時間のある時に一読ください。

アクティブな企業監視の欠如
これは実際に起きている問題点であり、今後のリスクです。
端的に言えば「どの企業の大株主も資産運用会社になりつつある」ということです。
何が問題なのか、インデックス投資しかしていない方にはピンとこないと思いますが、株主というのは通常議決権を有しており、企業が変なことをしていないか、業績を上げるために頑張っているかなどを監視する役割を担っています。株主の意見がまとまれば社長を辞めさせることが出来るといえば分かりやすいかな…?
しかし、資産運用会社が投資家全てのニーズに応え、市場全ての企業を監視し、議決権を行使するかと言えば、それが現実的でないことは想像に難くないでしょう。無理です。
そのため、インデックスに採用されている企業もそれに胡坐をかいている状況にもなっていました。TOPIXとかは最たる例かもしれません。ゾンビ企業とかよく言われているし…。
一応資産運用会社でも、ESG投資や武器・兵器等軍事企業には投資しないインデックスの組成(たしか、ブラックロックが積極的)など、対策を講じてはいるようですが影響のほどは少なく、パフォーマンスと捉えられても仕方がない状況にあります。
2018年にアメリカで発生した高校での銃撃事件を受けて、ブラックロックは全米ライフル協会への優遇措置を撤廃したり、規制強化に向けた取組みを強化するなどをしていますが、効果のほどは限定的です。
SRI(社会的責任投資)を積極的に進めていくとしていますが、投資家もそれほど関心がないのか、パフォーマンスが落ちるETFには資金を投入したくないのか分かりませんが、インデックスファンドほどの盛り上がりはありません。
さいごに
まだまだ思いつくリスクはありますが、とりあえずこのくらいに…。疑い始めたら際限なくなりますからね…。とはいえ、備えるに越したことがありません。今はずっと上昇相場。下がったと思ってもすぐにあがる相場であるため、「株式100%やインデックス投資が最強!絶対損しない!」と本気で思っている人ばかりだと思います。今後もそうだと良いですね。
完璧に思えるインデックスファンドにも相応のリスクがあるということを理解して、楽しい投資を続けていくための一助になれば幸いです。
【おむつ代】
手放しで金融業界を信用するのはやめた方がいいな~と思わせる書籍です。読み物としても楽しめるため、勉強に疲れた方は是非
そもそも会社って何?という本が網羅されている書籍です。今年発売されたばかりなので情報も新しい。ボリュームがありましたが、その分楽しめる一冊でした。
これからの日本人が知るべき知識がざっと書いてある書籍です。時々突飛なことを書いていますが、全体的な評価としては今年必ず読むべき良書だと思います。
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