
今後の世界は、私たちが経験したものとは異なるが、歴史の中では何度もあったことだ。
こんにちは、ダンナです。
今回は、ダンナが最も影響を受けた投資家であるレイ・ダリオ著『世界秩序の変化に対処するための原則』について解説します。
現代の米中対立、急激なインフレ、政治的混乱と、世界が大きな転換点にある中で、「いま絶対に読んで欲しい本」であり、今後投資を続けていくならば必読と言っても可能なレベルです。
本書は過去500年の主要国家と通貨の盛衰から、世界秩序の変化を「ビッグ・サイクル」という形で読み解く一冊で、A5判556頁とかなりの大作です。そのため、本記事では、本書の構成・要点・実用的な読み方から、なぜ今読むべきなのかを解説しますが、すべてを網羅し、ご紹介することは出来ません。
本書の内容を大まかにでも知りたい場合は以下の動画が良いと思います。公式による書籍紹介(というか、内容紹介)です。まずはこの動画を観てから、本記事を読んでいただくという順番でも良いと思います(動画もかなり長いです)。

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著者紹介:レイ・ダリオとは何者か?
レイ・ダリオ(Ray Dalio)は、世界最大級のヘッジファンド「ブリッジウォーター・アソシエイツ」の創業者。1949年生まれ、12歳で株式投資を始め、1975年にニューヨークのアパートからブリッジウォーターを立ち上げました。現在では約1000億ドル以上を運用する世界的機関投資家です。
レイ・ダリオの主な実績と特徴
- グローバルマクロ戦略の第一人者
- 『PRINCIPLES(プリンシプルズ)』シリーズの著者
- 歴史とデータを重視した“原則思考”の推奨者
本書でも彼の原則的思考が色濃く反映されており、「過去を学ぶことで未来を予測する」という姿勢が一貫しています。

ダンナは日本語に翻訳されたものに限りますが、レイ・ダリオ氏の著書は頑張って読みました(内容が重すぎて英語はつらい…)。
書籍構成と内容要約:『世界秩序の変化に対処するための原則』
本書は大別すると3つのパートに分かれています。以下に目次を記載しておきますので、どのようなボリューム感で、どのような内容なのかを察していただきつつ、箇条書きで要約していきます。
目次
PART I 世界はどのような仕組みになっているのか
はじめに
1 ビッグ・サイクルをごくごく簡単にまとめると
2 決定要因
補遺 決定要因
3 お金、信用、債務、そして経済活動のビッグ・サイクル
4 貨幣価値の変化
5 内部秩序と内部混乱のビッグ・サイクル
6 外部秩序と外部混乱のビッグ・サイクル
7 ビッグ・サイクルに照らし合わせて投資する
PART II 世界は過去500年間、どのように動いてきたのか
8 ごく簡単に過去500年間をまとめると
9 オランダ帝国とギルダーの興隆と衰退のビッグ・サイクル
10 大英帝国とポンドの興隆と衰退のビッグ・サイクル
11 アメリカ合衆国とドルの興隆と衰退のビッグ・サイクル
12 中国と人民元のビッグ・サイクル
13 米中関係と米中戦争
PART III 将来
14 将来
付記 主要国の現状と長期見通しのコンピュータ分析
PART I:世界はどのような仕組みになっているのか
- 国家の盛衰を形づくる「ビッグ・サイクル」の法則
- お金・信用・債務・経済活動の相互作用
- 内部秩序と外部秩序の崩壊サイクル



まずここで、世界の仕組みを説いています。
様々なデータに基づくもので、説得力しかない。
PART II:世界は過去500年間、どのように動いてきたのか
- オランダ帝国とギルダー
- 大英帝国とポンド
- アメリカとドル
- 中国と人民元
- 米中関係と将来の戦争リスク



つぎに、歴史はどのように韻を踏んできたのか。
大局を見つめなおします。
PART III:将来
- 米中交代の兆候と今後のシナリオ
- 国内外における根本的な変化
- コンピュータを用いた各国の分析結果



最後に、様々な視点や角度からデータに基づき将来の展望を述べています。このデータを手元に置いておくためだけでも買う価値があります。
最も重要な3つのこと


債務と資本市場の長期サイクル
- 今日まで、債務は膨らみ、低金利(もしくはマイナス)になることはなかった。
- 利下げには限度があり、基軸通貨が大量に印刷され価値を下げたら、各国の中央銀行はどうするのか。
- 過去の世界の基軸通貨は基軸通貨ではなくなってきた。
内部秩序と内部混乱のサイクル
- 富、価値観、政治格差がこれほどまでに大きくなったことはない。
- 富と価値観の格差が大きく、景気が低迷しているとき、パイをどう分配するかで多くの対立が起こった。



下線部は、今、トランプ大統領が主張していることに他なりません。
外部秩序と外部混乱のサイクル
- アメリカは本当の意味でライバルと呼べる大国に遭遇している。(中国)
- この傾向が続けば、中国はアメリカよりもはるかに強大となり、支配的な帝国となる。



中国の不動産バブル崩壊などが起こっていますが、
客観的に見ても、この関係は崩れていません。
以前ほど、アメリカは大国ではなくなりました。
なぜ今この本を読むべきか?
米中対立の本質を知るため
歴史上の覇権交代(例:イギリスからアメリカのように)を比較することで、今の中国の台頭とアメリカの相対的衰退がどこに向かうかを読み解けます。
私たちが初めて経験することは、歴史上ではそう珍しいことではなく、今まで起きていたことだということが分かります。
投資や経営の指針になる
経済・金融の根本サイクルが分かれば、今後の金融政策や地政学的リスクにどう対応すべきか、長期的な資産防衛が可能になります。
なぜ金が買われるのか。金が買われる状況というのは、歴史的にどのような状態なのか。そういった大局をみることで、アセットアロケーションの最適化を図ることが出来ます。


歴史から学ぶ教訓を得る
レイ・ダリオ氏は「歴史は繰り返さないが、韻を踏む」と語っています。本書は500年分のパターンを凝縮し、未来をどう生き抜くかのヒントを与えてくれます。
読みやすさと説得力のある構成
図表とデータが豊富
全556ページの中に、何十ものグラフ・チャートが掲載され、複雑な理論も視覚的に理解しやすい構成になっています。これを手に入れるだけでも、本書を買う価値があります(二回目)。
翻訳の質も高い
多くの投資書籍の翻訳を斎藤聖美氏により、難解な経済用語も丁寧に齟齬なく翻訳されており、また非常に読みやすい文体です。レイ・ダリオ氏の他の書籍も手掛けているだけは有ります。
読了後に得られるもの
- 変動期を生き抜くための原則
- 長期的な視点と冷静な判断力
- 歴史と未来をつなぐ枠組みの知識
これは単なる歴史書ではありません。
「現代を読み解く実践書」であり、投資家・経営者・政策立案者、そして未来を考えるすべての人にとっての知的資産となります。個人投資家であっても読むべき内容です。
書籍情報
- 書名:世界秩序の変化に対処するための原則 ── なぜ国家は興亡するのか
- 著者:レイ・ダリオ(翻訳:斎藤聖美)
- 出版社:日本経済新聞出版
- 価格:4,400円(税込)
- ISBN:978-4-296-11618-8
- ページ数:556ページ
- 形式:A5ハードカバー/Kindle電子書籍版あり



読了後。4400円は非常に安いとすら感じる一冊でした。
読書中に振り返りの出来る紙の書籍がオススメです。
まとめ:未来を見通す羅針盤としての一冊
『世界秩序の変化に対処するための原則』は、単なる読み物ではなく、未来に備えるための「道具」です。国家の盛衰は偶然ではなく、一定のパターンで動いているという事実を、データと歴史の裏付けで解き明かします。
「世界が変わる瞬間に、あなたは何を基準に行動しますか?」
その答えが、きっとこの本の中にあります。変化の時代を生きるすべての人に、心からおすすめしたい一冊です。
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