
こんにちは、ダンナです。
新NISAが始まり、「これからは貯蓄より投資だ!」「インデックスファンドを買っておけば間違いない!」という声をよく耳にするようになりました。
実際、ここ数年の相場は好調で、利益が出ている方も多いと思います。
ただ、僕は少しひねくれ者なので、「インデックス投資が最強の最適解だ」と称賛される中でも、その裏に潜むリスクやデメリットを理解し、きちんと対策を考えないとどうにも落ち着きません。
そこで今回は、あえてインデックスファンドが孕むリスクについて、つらつらと述べていきます。
正直、多くの人はここまで考える必要がないのかもしれません。しかし、何かの折にリスクが顕在化し暴落が起きた場合、この記事の内容が冷静に対応するための一助になると考えています。ぜひ一読いただけますと幸いです。
この記事でわかることは以下の4つです。
- インデックス投資が市場に与える「合成の誤謬」とは
- 指数提供会社による「ルールの恣意的変更」リスク
- 市場の効率性を歪める可能性
- 「物言う株主」不在によるガバナンス低下問題
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なぜインデックス投資の「裏側」を知る必要があるのか

人のゆく裏に道あり花の山:合成の誤謬
皆さん「合成の誤謬(ごびゅう)」という言葉はご存じでしょうか。投資歴がある程度ある人や経済学を学んできた人ならば馴染み深い言葉かと思います。
ザックリ言えば「個にとり良いとされることが、必ずしも全にとり良いとは限らない」ということです。
| 個人の行動 | 全体への影響(合成の誤謬) |
| 全員が将来のために「貯金」をする | 消費が減り、企業の売上が落ち、経済が停滞する(結果、個人の給料も減る) |
| 全員が「インデックス投資」をする | 市場の価格発見機能が失われ、非効率な市場になる(今回のテーマ) |
日本は貯蓄から投資への流れにシフトさせようと躍起になっていますが、これが正しいとは思いません。誰かの支出は誰かの収入なのです。
かつて、この合成の誤謬により世界恐慌が訪れたとも言われています。経済って難しいですね。
歴史は韻を踏みます。故に、学ぶことである程度の予防が出来ると考えています。


個としての最適解だが、全体最適ではない
私がインデックス投資を行っているのは、これが「個」にとり最適解であるからと納得したからです。インデックスファンドの父、ジョン・C・ボーグルが称賛する真意にも同調できました。
しかし、そんなボーグルですらETFには懐疑的でした。ETFの出現により、インデックス投資が短期売買的な「投機」になってしまうと懸念したためです(実際にデリバティブETFやインバースETFなどの規模が拡大しています)。
インデックスファンドが発明されてから2025年で50周年を迎えました(1975年12月31日が起点)。この折に、インデックスファンドの良い点だけでなく、悪い影響について理解を深めてみましょう。
※当記事におけるインデックスファンドとは、日経平均やS&P500といった株式市場平均に連動するファンド(投資信託やETF)を指します。
リスク①:指数提供会社によるインデックスの恣意的変更


インデックスの定義は「会社」が決めている
まず、何を差し置いても伝えたいのがインデックスの恣意的変更リスクです。
これは実際に何度も起きており、インデックスファンドとアクティブファンドの境界線を曖昧にしてしまう原因とも言えます。
指数提供会社とは、以下のようなインデックスファンドの株式指数を管理・提供している民間企業を指します。
- MSCI(オルカンなどで有名)
- FTSE(バンガード系で採用)
- S&P ダウ・ジョーンズ・インデックス
- 日本経済新聞社
多くの人が好きなS&P500も例外ではなく、何度もルールの変更がなされています。
例えば、複数クラスをもつ株式の採用を禁止するルールです。Berkshire Hathaway Inc.やAlphabet Inc.(Google)など、創業者が経営権を保持するために議決権のない株式を発行している企業は、基準を満たしても採用しないことになりました。
しかし、既に組み入れられているものは「除く」そうで、なんだかモヤモヤする状況に…。企業のガバナンスを重視するためには必要だと思いますが、その一方で多様性や市場全体の反映を制限してしまいます。
インデックスファンドも極論を言えば「アクティブ運用」と変わらないのです。指数を決めているのは結局は人間なので。
「オルカン」は本当の意味のオールカントリーではない?
最近では「オルカン」という愛称で知られている全世界株式インデックスにおいても、中国企業を指数から除外する動きが見られます。共産中国軍事企業への投資を禁じる大統領令が出されたことや、そもそも中国株に対するネガティブなイメージ、株価低迷などが理由として挙げられています。
指数から除外するか否かそれだけのことですが、こと新興国株においては政治的駆け引きとして利用されるほど、インデックスファンドの影響力は大きくなっているのです。
ESGや新興国市場という定義の揺らぎなど、指数提供会社に対する内外的な要因によりインデックスの定義は変わってしまいます。
これは「市場全体を買っているつもりで、実は誰かの意図が入ったパッケージを買っている」というリスクとして理解しておくべきでしょう。
この辺りの歴史について以下の書籍で分かりやすく解説されています。なぜか話題にならないのですが、変な投資本よりも一億倍役に立ちます。
ボリュームのある一冊ですが、小説形式で読みやすくて面白かったです!
リスク②:市場の非効率性に対する影響


インデックスファンド=みんなで渡ろう赤信号
インデックスファンドの最たる特徴として「市場全体の動きに追随する」というものがあります。これによりインデックス投資家は平均点の安定したリターンを得ることができるのです。
しかし、悪い見方をすれば個別企業の業績や本質的価値に関係なく、指数に組み入れられている銘柄を機械的に買ってしまうとも取れます。
簡単に言えば、以下のような行動を世界中で一斉に行うわけです。
- 人気の銘柄(時価総額が大きい)を沢山買う
- 不人気な銘柄は少ししか買わない
- 暴落時は、逆に不人気な銘柄を沢山売って、人気のある銘柄は少ししか売らない
これにより、企業の本質的価値と市場価格に乖離が生じ、市場の価格形成に歪みをもたらすのでは…と懸念されています。極論ですが、企業の実力が100円の価値しかないのに、1億円の価値があるものとして売買される可能性があるのです。
日本ではTOPIXの条件が緩かったことで「ゾンビ企業」が多いという指摘があったよ
インデックス運用の功罪
特に時価総額が大きい企業に資金が集中しやすいため、企業の実際の業績や成長性に関係なく、株価が過剰に引き上げられるリスクがあります。
この歪みは「スマートベータ戦略」などが普及することで解消されるという見方もありますが、本当にそううまくいくかは誰にもわかりません。
インデックスファンドについては多くの人がそのリスクについて研究しているよ
【参考資料】
リスク③:市場全体の下落時のリスク


「皆が富むとき、僕も富む」の逆も然り
インデックスファンドの本質は以下の言葉に集約されます。
皆が富むとき、僕も富む。
皆が貧するときに、僕も貧する。
抜け駆け禁止。皆で渡ろう赤信号です。
インデックスファンドは市場全体の動きに連動するため、市場全体が下落する局面では、ファンドの価値も同様に下落します。個別株のように「不況に強い銘柄だけ選んでリスクヘッジ」といった芸当ができないため、市場全体の下落リスクをそのまま受け入れる(被弾する)ことになります。
分散投資=低リスクではない
SNSなどで「インデックスファンドは広く分散されているのでリスクはない!」と言っているポストを見かけますが、そんなわけがないのです。
何千社に分散しようが、投資先は「株式」である以上、リスクはあります。個別株を買うよりは比較的リスクが抑えられるというだけで、「暴落しない」と同義ではないのです。
大抵の人はこうした誤解や無勉強が起因して、リーマンショックやコロナショックなどの暴落時に冷静さを欠き、狼狽売りにより損失を確定させてしまい、株式市場から退場します。
実際、コロナショックのとき、僕も理性は「圧倒的買い」と叫んでいましたが、感情は「様子見」でした(結局買いましたが)。次も冷静でいられる保証はありません。
以下の記事に、リスクを管理するための「アセットアロケーション」の考え方をまとめました。お時間のある時に一読ください。


リスク④:アクティブな企業監視の欠如


資産運用会社が大株主になる世界
これは既に起きている問題であり、今後の大きなリスクです。端的に言えば「どの企業の大株主も資産運用会社になりつつある」ということです。
通常、株主は議決権を有しており、「企業が変なことをしていないか」「業績を上げるために頑張っているか」を監視する役割を担っています。株主の意見がまとまれば社長を辞めさせることも可能です。
しかし、資産運用会社(ブラックロックやバンガードなど)が、市場全ての企業を監視し、適切に議決権を行使できるかと言えば、物理的に無理です。
そのため、インデックスに採用されている企業がそれに胡坐をかいてしまう状況(ゾンビ企業の延命)も生まれています。TOPIXなどはその最たる例かもしれません。
忖度と限界
一応、資産運用会社もESG投資や、武器・兵器等軍事企業には投資しないインデックスの組成など、対策を講じてはいます。しかし、その影響力は限定的です。
例えば2018年の米銃撃事件を受けて、ブラックロックは全米ライフル協会への優遇措置を撤廃したりしましたが、SRI(社会的責任投資)ETFは、通常のインデックスファンドほどの盛り上がりを見せていません。
投資家自身がそこまで関心がないのか、パフォーマンスが落ちるのを嫌っているのかは分かりませんが、「物言う株主」が不在の市場になりつつあることは覚えておくべきでしょう。
さいごに:新NISA時代を生き抜くために


まだまだ思いつくリスクはありますが、とりあえずこのくらいに…。疑い始めたら際限なくなりますからね。
とはいえ、備えるに越したことはありません。今は長く続く上昇相場の中にいます。「株式100%やインデックス投資が最強!絶対損しない!」と本気で思っている人も多いでしょう。今後もそうだと良いですね。
「完璧に思えるインデックスファンドにも、構造的なリスクがある」
これを理解した上で、冷静に、そして楽しく投資を続けていくための一助になれば幸いです。
【おむつ代(おすすめ書籍)】
今回の記事に関連する、投資の本質を突いた良書を紹介します。
風刺の効いたタイトル|投資家のヨットはどこにある?
手放しで金融業界を信用するのはやめた方がいいな~と思わせる書籍です。読み物としても楽しめるため、勉強に疲れた方は是非。
会社と株主の関係を学ぶ|会社と株主の世界史
そもそも会社って何?という本が網羅されている書籍です。発売されたばかりなので情報も新しい。ボリュームがありましたが、その分楽しめる一冊でした。まあ、これはオタク向けです。
利上げ局面にある日本人必読|「金利のある世界」の歩き方
金利のある世界になるとどうなるのか。何に気を付けていくべきか、また、誰が恩恵を受けるのかなどについて丁寧に書かれた一冊です。是非読んでいただきたいです。
ちょっと似た話である、個人向け国債については以下で語っているよ




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